写真版ぐるめ部長の『ほぼ高槻』グルメガイドvol.1

画像の無断使用はご遠慮ください。ヒトサラなどに食べログから提供された画像も含みます。地元のキュレーションサイトに結構使われてしまったので、こう書かざるを得ません(^^;)

コラム 【誰に感情移入する? こんな夜更けにバナナかよ】

http://kitanoeizou.net/blog/?p=15839






2019年1月7日投稿






介護を必要とする家族が、ショートステイでいない夜。いつもなら、眠るか飲むかしている私ですが。観たい映画があったので、レイトショーに。その映画のタイトルは・・・
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』


原作を読んだことがなかったので、『最強のふたり』みたいなハートフルでヒューマンなコメディか、もしくは邦画にありがちな、コメディに見せかけたウェットな「泣き」の映画かと、半分思っておりました。


ところがどっこい!!


途中途中で泣かしどころはあるものの、全体としては「泣くまい」と強がっている。本当は強くなくても、不安はあっても、「大丈夫」と言い切って、強いフリをして、強くあろうとしているうちに、気がつくと強くなってた、みたいな映画でした。飄々とした大泉洋や、可憐な高畑充希、ぎこちない三浦春馬、そして、考える前に手が動くベテラン?ボランティアの萩原聖人・渡辺真起子、みんながハマリ役。最初に登場する見習い?のムチムチ肉感女子達のフトモモもイイカンジ。


しかし!!


この映画の中で、1人だけ、従来のウェット型の人物がいる。それは「お母ちゃん」。あ、今こうして書こうとするだけで、泣けてきちゃうわ。「お母ちゃん」は母親なのに、息子の介護の現場に立ち会わせてもらえない。息子の好物の稲荷寿司を作って持って行っても、息子に無下に追い返されてしまう。ボランティアが足りなくて困っていても、電話してもらえない。息子は他人を頼ってる。


なんでやっ!!


と、私なら絶対に怒る。それは、息子が困っている様子を思い浮かべただけで、胸が締めつけられるから。まるで自分自身のことのように


そこがミソ!!


障害のあるヒトが一人暮らしをしたいと言い出したとき、最も反対するのは母親だそう。そりゃそうだ。子どもは自分の一部だから。子どもの自我と自分の自我の区別が曖昧。子どもの痛み=自分の痛み。子どもに障害があれば、その子どもを大切に育ててきた「お母ちゃん」であれば、尚更。母子密着はある意味、必然。それを断ち切るのはなかなか容易ではない。


だからこその、息子のあの態度!!


この映画で、重度の障害がある息子は、何でも他人に頼ってる。他人に頼らないと何もできない。どんな個人的なことでもだ。その姿は痛々しい。大泉洋のように、どんなに堂々と・飄々としていても、「お母ちゃん」には痛々しい。本当は、痛々しさは周囲が勝手に感じることで、母親の庇護のもとに帰らず、息子自らそれを選ぶとき、それは強く生きるということなのだけれど。「お母ちゃん」にもそれは分かっていたとしても。それでも、見てしまえば痛みを感じる。だから息子は見せまいとする。と、このように、私は「お母ちゃん」に感情移入した。


あなたは誰に感情移入する?


もし、私が20代なら、三浦春馬演じる医大生にグッと気持ちが寄っただろう。なぜなら私にも挫折した体験があるから。よく考えもせず「受かりやすそう」だから大学は教育学部、なんとなく「面白そう」だから専攻は心理学、知的障害のある兄がいて「親が喜びそう」だから福祉系の公務員になろうと思ってた。でも、体験にと思って始めたボランティア活動や、そこで知り合う仲間に馴染めず(※ひたむきな前向きさが眩しすぎたw)、大学生活を通して学んだことは「私って直接ヒトと関わる仕事は向いてないかも」。結局、福祉系の公務員はあきらめた。現在、介護者として日々を送っているのは完全に想定外。ただ、人生経験を積んだ今となっては「ま、そんなこともあるよね」くらいなもの。人間、いろいろ思うことはあっても、心にフタをして取り敢えず、手を動かし体を動かしていれば、日々つつがなく、人生の終点に向かっていく。そう考えるようになった私には、三浦春馬は遠い遠い。






ちなみに!!


私と同様「お母ちゃん」にグッときたヒトには、こちらの書籍をお勧めしたい。
著者は発行当時の奈良県立明日香養護学校の教員、後の奈良県奈良市の障害者福祉団体・特定非営利活動法人「かかしの会」の理事長である向野幾世。向野が明日香養護学校で生徒として受け持っていた奈良県桜井市出身の少年の生涯と、彼の作った詩を中心として、少年の家族や仲間たち、障害者としての苦しみ、喜び、希望などを綴った書籍である。サンケイ出版より1978年に発行された後、一度は絶版となったが、平成期に再び話題となったことで、約四半世紀を経て2002年に復刊された。2007年にはこれを原作とするテレビドラマも放映された。

バリアフリーという言葉がなかった頃の障害児・者のおかれた環境がわかる。






また、この映画もいろいろ考えさせられる。






今でもなくなってはいないが、私が子供の頃は、先行きを悲観した親による障害児・者との無理心中事件が時々あった。私も母に「死ぬときは、お兄ちゃんを連れて死のう」と言われながら育った。「障害児・者との無理心中で、殺した親への情状酌量はおかしい」という障害者団体の抗議があった記憶がある。複雑な心境になった覚えがある。






映画【こんな夜更けにバナナかよ】を観て、正直、誰もが強くあれるハズもないと、反感をもつ自分もいる。でも、強くあろうとする選択肢もある、ということは常に忘れないでいようと思う。今後の人生、まだ何が起きるかわからないから。







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