写真版ぐるめ部長の『ほぼ高槻』グルメガイドvol.1

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コラム 【映画『追憶』個人的感想①】※ネタバレあり





2017年5月10日 観に行って良かった度 8/10点







「お前は忘れろ」「忘れていいんだよ」


と、周囲のヒト達から口々に言われる主人公。
「お前に責任はない」という許しの言葉でもあるし、
「前を向いて歩け」という思いやりの言葉でもある。


でも、主人公にとっては、「お前には関係ない」という、
強い疎外感を与えられると同時に、償いの機会を奪う言葉でもある。


消えない罪悪感と秘密を背負ったまま歩む人生は、
砂上の楼閣に住むような刹那的な、
安心して他人を立ち入らせるコトが出来ないような、
そんなふうなモノになるのだろうか。


主人公は、妻とは別居。
親身になってくれる上司にも打ち解けられない。
終始一貫、険しい顔をしている。
偶然再会した幼友達に対しても、最初は避けようとする。


で、その幼友達が殺されて・・・


今度は打って変わって、容疑者でもある別の幼友達に関わろうとする。
まるで、償いができるチャンスだとばかりに。
自らの刑事と言う立場も顧みず。


そして、最終的には、いちばん許してほしいヒトに許され、
その胸に顔をうずめるとき、その顔はそれまでとは対照的に穏やかだ。



この映画は、富山の美しい自然を映しているが、
色彩は良く言えば穏やか、悪く言えば地味。
最近の派手で精巧なCGを多用する映画に慣れていると、
色味の乏しい、暗い、代わりに、粒子がクッキリと明瞭過ぎて、
ザラリとした画質であるかのような、映像に思えてしまう。


しかし、2人だけ、鮮明な「色」をまとうキーマンがいる。
忘れないコトでヒトを守っている人物と、
事故で記憶を失ってもなお覚えているコトでヒトを許す人物。


前者は、鮮やかなオレンジの上着の容疑者でもある幼友達。
後者は、鮮やかなブルーのショールの女性。
女性はかつて、主人公達の罪をかぶり、殺人犯として投獄された。


まるで、この2人との再会が、主人公を色彩のある世界に連れ戻す、
その象徴の、夕日の色と海の色のよう。


岡田准一の好演も手伝って、たいへん感動的なクライマックス。



ただ、チョットだけ惜しい。


それは、幼友達が幼友達を強請ったのではないか、
強請られた幼友達が幼友達を殺したのではないか。


こう疑った自分に対する自責の念が全く描かれていない。
刑事の習い性だからでスルー出来なくはないけど、
描かれていたらもっと、作品としての厚みが増したかな、と思う。







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